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Saturday, September 06, 2008

あれから一年

ドキュメンタリー映画監督の佐藤真さんが亡くなって、一年が経った。

佐藤さんとの出会いは奇縁である。というのも、佐藤さんの奥さんと僕の姉貴が同じ産院で出産したのがきっかけで、個人的に知り合った。ドキュメンタリー映画など観ない姉貴が「同室の人の旦那さんも映画撮る人みたいだよ」というので、「なんて名前?」と聞いたら、「さとうまことさんっていうみたい」というので、絶句した覚えがある。僕にとって『阿賀に生きる』の記憶は鮮烈だったからである。

しかし、僕が本当に深い影響を受けたのは、後に出版された佐藤さんの名著『ドキュメンタリー映画の地平』である。ちょうどテレビ・ドキュメンタリーの仕事に行き詰まりを感じていた僕は、この本を読んだのがきっかけで、自主制作で主体的にドキュメンタリー映画を撮りたいと思い始めた。そして『選挙』を撮った。『選挙』は佐藤さんに気に入ってもらい、世に出る後押しをしてもらった。その佐藤さんに突然逝かれてしまったことは、本当にショックだった。

でも、佐藤真の肉体は失われても、佐藤真という存在は僕の身辺から消えていない。

実は、今年5月、平田オリザさんに撮影の申し込みに行ったとき、このプロジェクトを本当にやるのかどうか、言い出しっぺのくせに100%確信が持てずにいた。いや、この企画に限らず、『選挙』のときも、『精神』のときも、やるかどうかの迷いはあった。ドキュメンタリー映画を撮るということは、相当なコミットメントだから、迷うのは当たり前なのである。

ところが、平田さんにお会いした際、「実は佐藤真さんが想田さんと同じような趣旨の映画を企画してたんですよ」と切り出されたとき、僕は強い衝撃を受けると同時に、これは決定的だと思った。ここにも奇縁が生きていた。やらねばならぬ映画だと思った。

というわけで、佐藤真は死んでいないのです。


佐藤真監督の懐古上映も実施中。
■ユーロスペース:2008年9月6日(土)〜9月12日(金)
■アテネ・フランセ文化センター:2008年9月16日(火)〜9月20日(土)、9月24日(水)〜9月27日(土)、9月29日(月)〜30日(火)
http://www.cine.co.jp/php/detail.php?siglo_info_seq=108

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